マーケイット ブログ
Web担当者とWeb制作業者がプロジェクトを進める際に気をつけるべき、たった1つのこと

何人かのWebディレクターと飲む機会がありました(意外にこの業界は横のつながりがあるものです)。同業ということで仕事の話が中心になるのですが、その中で共通している面白い話がありました。それはクライアントとなるWeb担当者とのプロジェクトの進め方です。
Web担当者がプロジェクトを円滑に進めるためには、Web制作業者とどう付き合っていくべきか。飲み会に参加したWebディレクターの話を参考に考えてみました。
※この記事は旧ブログ「INBOUND marketing blog」から移行したものです。
【目次】
クライアントに見えないWeb制作業者(Webディレクター)の仕事内容について
Webディレクターにとって、プロジェクトを円滑に進めることは永遠のテーマ。クライアントとなるWeb担当者と人間関係を築くことは最重要課題です。 しかし、プロジェクトによっては、なかなか上手くいかないことがあります。 Web担当者は「こっちの意図を反映してくれない」と言い、Webディレクターは「無理難題ばかりを言ってくる」と言うものです。Webサイトの構築や運用に携わったことがある方なら、思い当たる出来事が一つや二つはあるではないでしょうか。これは単に相手の立場を理解できないままに進むコミュニケーション不足によるものです。

Webディレクターの仕事の範囲は広いです。規模によって役割の範囲は変わってきますが、基本的に以下のような業務を担当します。
クライアント理解(ヒアリングや資料の読み込み) |
スケジュールの管理と調整 |
データの解析・分析 |
予算の管理 |
企画書・提案書の作成と提案 |
打ち合わせの準備と開催 |
議事録の作成・共有 |
ワイヤーフレーム(構成)の作成 |
ドメインやSSL、サーバ等の調整 |
各種修正と再提案 |
など
これらはクライアントに見える部分のやりとりです。
一方、社内でのやりとり、つまりクライアントに見えない業務が多数ある点も確認しておきましょう。
他プロジェクトとのリソース(人員)の調整 |
参加メンバーの工数の把握と管理 |
プロジェクト定例会の準備と開催 |
各パートの進捗管理 |
仕様変更の調整・予算調整 |
デザイナーやマークアップエンジニアなどのメンバーとのやりとり |
ライティング |
ドメインやSSL、サーバ等の手配 |
外注調整と発注業務 |
メンバーのメンタルケア |
など
これらが普段からWebディレクターが担当する業務内容ですが、問題となるのはクライアントのWeb担当者との間で生まれる最もクリティカルな齟齬、いわゆる「仕様変更(追加修正を含む)」です。
もちろん仕様変更は、当たり前に発生する課題として織り込み済み。しかし頻発すると、デザイナーなどのメンバーに変更内容を都度説明しなければならず、彼らのプロジェクトへの参加意欲が低下していきます。つまり社内からの積極的な支援が得られなくなるのです。
企業のWeb担当者が関わる仕事内容について

クライアントとなるWeb担当者の業務も実に多いです。ここで幾つか記してみましょう。
プロジェクトメンバーの選定とアサイン |
進捗管理 |
定例会の調整 |
提案内容の上長やメンバーへの説明、承認 |
Web制作業者への依頼まとめ |
サーバなど情報システム部門との調整 |
追加予算の妥当性の確認と上長への説明と承認 |
稟議申請 |
ワイヤーフレームの修正 |
ライティング |
現在運営中のWeb管理全般 |
リリースのプレス関連 |
など
これらの業務は慣れているWeb担当者であれば対応できるものですが、なかにはプロジェクト発足時に任命されるケースがあり、その他の業務と兼務ということもあります。Webの知識はもちろん、社内での立ち回り方が分からないため、ストレスフルな状態となり、結果的に「Web制作業者が問題」と考えかねません。
プロジェクトを上手く進めるための、たった1つのこと

このようにクライアントとなるWeb担当者もWebディレクターも、問題が発生するのは仕様変更時に起因します。しかし、それらが発生すること自体が問題なのではありません。発生することによって、それぞれの社内で自分以外のメンバーと調整しなければならない想定外の業務が問題なのです。
これはお互いの仕事の役割や立場を理解することで解決します。
Webディレクターなら、自身の担当する役割を説明し、仕様変更時にどのような問題が起こるのかを理解してもらうことが必要です。そうすればクライアントのWeb担当者も、予め仕様を念入りに固めて計画的にプロジェクトを遂行する重要性を理解してくれます。
Web担当者なら、自分自身の知識や経験、立場、意思決定の権限を説明し、仕様変更が発生する想定ケースと社内での立ち回り方をWebディレクターに理解してもらうことが必要です。むしろ、社内での動き方を相談するのがよいでしょう。この説明があれば、あらかじめWebディレクターは自社で準備ができ、社内の支援を得られやすくなります。
例外ケースとプロジェクトの本来の意味

プロジェクトのなかには、決定権のあるWeb担当者が直接、Web制作業者と対応するケースがあります。これはWebディレクターにとっては、幸運でです。Web担当者の言うがままに動けばプロジェクトは早期完結を見込めるのですから。
しかしこれは本質的ではありません。Webサイトは本来、クライアントの成果につながるものでなければなりません。時にWeb担当者が、本質から外れたところ(例えばデザインのディテールや機能)でこだわりを見せたら、その妥当性を判断し、時には正すことがWebディレクターには求められます。Web担当者は意見を受け入れることが求められます。
プロジェクトの本質を見極め、相手の立場を理解し合うことができれば、プロジェクトの本来のゴールは導かれるはずです。